滅びゆく民族~エチオピア・オモ谷

《生きた民族の博物館》と呼ばれるオモ谷。
エチオピアが植民地されなかったこと、また険しい地形に囲まれているために西洋文化の影響を受けず、太古からのアフリカ文化を継承する50以上の民族が暮らす。
オモ谷は世界遺産にも指定されているが、政府はダムや大規模農園などの開発を推し進めている。
このためにオモ谷は現在、民族絶滅や文化消失の危機に瀕している。
以下、オモ谷の民族を人数の少ない順に紹介する。
【ムルレ民族:2名】
ムルレ語を話せるのは2名のみ。
この2名が亡くなると、ムルレは言語学的に消滅をむかえる。


【ベラレ民族:10名以下】
ハマールにルーツを持つ民族であり、蜂蜜採りの名人としても知られる。
ベラレ語の話者は10人にも満たず、彼らの言語や文化を守るためにアジスアベバ大学が研究中。


【クウェグ民族:約1,000人】
上流に作られたダムの影響により、絶滅が心配されている。
食べ物の大部分をオモ川の魚に頼っているが、罠を仕掛けて小さな動物を狩ったり果物や蜂蜜も口にする。
カロに近くカロと結婚するクウェグもいるが、言語はスルマに近い。

【カロ民族:約1,500人】
独特のボディーペイントで知られる。
ダンス好きであり、収穫祭や結婚式、成人式には大勢の人々が集まり、踊る。
祭りの際には顔をカラフルに塗り、ダチョウの羽を頭につける。


【ムルシ民族:約3,000人】
スルマの近縁で、唇にリッププレートをはめている。
アクセスが良いことから観光客に人気であり、観光バスが停まる村もある。
観光客からの現金収入を目当てに、村人たちは苦痛を伴いながらもリッププレートを続けている。


【アーボレ民族:約4,000人】
オモ谷の南西に住み、コンソに似た文化を持つ。
女性は黒い布で頭部を覆い、カラフルなネックレスやイヤリングを身に着ける。
小さな子供たちは日除けのために頭にひょうたんのヘルメットをかぶり、泥でボディペイントをする。

【ツェマイ民族:約5,000人】
農業と放牧を営んでおり、モロコシやアワなどを主食にする。
独身女性は短い皮のスカートを履きV字のエプロンを付け、結婚している女性は長い皮のスカートを纏う。
政府の開発を歓迎し、近代化を推し進めようとしている民族でもある。

【ニャンガトム民族:約6,000人~8,500人】
荒々しく好戦的な民族として知られており、ハマールやカロなど近郊の民族と争いを起こすことが多い。
相手を殺すと皮膚を傷つけて体を飾り、ヒーローとして尊敬される。
大型の銛とカヌーを使ってワニ狩りをするが、違法であるために政府からの撮影許可取得は不可能。


【ボディ民族:約10,000人】
男性は羽の付いたヘッドバンドを付けて腰にコットンを撒く程度で、全裸で生活する。
大量の蜂蜜を食べるために太っている男性が多く、男性は太っているほうがモテる。
6月には未婚の男性が各村から選ばれる「太っちょ祭り」が開かれ、勝者には多大な名声が与えられる。


【スルマ民族:人口約20,000人】
リッププレートを着用するなど、ムルシに近い風習を持つ。
男性はドンガと呼ばれるスティックファイトの儀式を持つ。
男女ともに体に傷をつける風習を持ち、特に男性の傷は殺した敵民族の数を表わす。

【ベンナ民族:約20,000人(要確認)】
ハマールに似た文化風習を持つ。
男性の成人式には《牛飛び越え祭り》を行い、牛の列から落ちずに4往復できれば結婚することが許される。

【ハマール民族:人口35,000~50,000人】
オモ谷で最も有名な民族のひとつ。
放牧と農業を営み、女性は赤土を体中に塗る。
牛飛び越え祭りも行う。


【ダサネッチ民族:人口約50,000人】
元々放牧民であったが、厳しい生活環境のために南のトゥルカナ湖へ移動して漁や農業を強いられた。
オモ谷諸民族の中でも、最も貧しい民族といえるだろう。
カバ狩りを行うが、違法であるために政府からの撮影許可取得は不可能。


どの民族も、身近にあるもので精いっぱい着飾る。
急激に西洋文明が入り込んでいるオモ谷では、それに合わせた新たなファッションも登場している。
花も観光客の捨てたゴミですら、彼らにとっては魅力的なアクセサリーなのだ。





