酒を主食にする人々~エチオピア・デラシェ

酒は嗜好品として世界各地で広く飲まれているが、エチオピアの山岳部に住むデラシェの人たちは、酒を主食とした生活を営んでいる。


農業を生業とする彼らはモロコシを収穫して地下貯蔵庫に保管し、週に2~3回ほど数種類の酒を作る。
なかでも頻繁に飲まれデラシェの主食ともなっているのが、【パルショータ】と呼ばれる醸造酒だ。


パルショータの作りかたは非常に複雑であり、時間と手間がかかる。
地下貯蔵庫に保管しておいたモロコシ粉にモリンガやケールなどの乾燥粉末を加えて数か月寝かせ、石臼で擦った後に団子を作り茹で、さらにその団子を潰してからモロコシの粉を練りこみ、それをアルコール発酵させた液体を水で希釈する。
パルショータ作りは女性たちの仕事だ。


酒以外は穀物粉を団子にしたものを時々つまむだけで、マメや肉、乳製品はほとんど口にしない。
村人たちは家でも農地でも、ヒョウタンやカップに入れたパルショータをグイグイと飲み続ける。


子どもの頃から酒を飲み始め、大人になると一人あたり約5リットルのパルショータを消費する。
長い時間をかけて摂取すること、またアルコール度数が3%程度と低いことから酩酊することなく必要なカロリーと栄養素を摂取することができているそうだ。
これほど偏った食生活をしているにもかかわらず、デラシェの村では栄養不良が発生していない。
高低差のある農地を毎日30km近く歩く生活にも関わらず、50歳~60歳になっても皆健康である。


デラシェの村には特定の酒場はなく、日替わりで誰かの家で集まってパルショータを飲む。
各家庭によって味が微妙に異なるため、美味しいパルショータを出す家は人気が高いという。


※情報元:砂野唯博士(新潟大学創生学部助教)



